JAK阻害薬の活用について

treatment

JAK阻害薬は飲み薬で1日1回で済み、とても便利ですし、非常によく効く画期的な治療薬です。JAK阻害薬は主にリウマチ治療の第3段階で使います。第2段階でも使うことができますが、日本リウマチ学会のガイドラインでは生物学的製剤が優先使用とされ第2段階でのJAK阻害薬使用は慎重にするようにされています。

生物学的製剤で良くならなかった人にJAK阻害薬を使うということがガイドラインで示されていますので、つまり生物学的製剤と同じかそれ以上によく効くということになります。もう一つの特徴は、治療効果が極めて早く現れてくることです。JAK阻害薬で寛解になれる人の場合、よく効いてきたという実感は2、3日であります。そして約2週間以内に寛解となる方が多いです。

同じ飲み薬で第一段階で使う抗リウマチ薬とどこが違うのでしょうか?

抗リウマチ薬は効いてくるまで3ヶ月程度かかります、また寛解となる割合も生物学的製剤や JAK阻害薬よりも、低いものです。
第一段階で使う抗リウマチ薬は、有効性が発揮されるまである程度の量が体に蓄積されていく過程があったり、薬が作用するポイントが幾つもあったり、そもそもどのような仕組みで効果があるのかはっきりわかっていないことが多いものです。

JAK阻害薬について

そもそも薬を作る時から、JAKというシグナル伝達物質1ヶ所にターゲットを絞って作られていますので薬理作用はっきりとわかっています。(ヤヌスキナーゼ:Janus Kinaseの略語で、JAKは関節リウマチの原因となるIFNやILなどの炎症性サイトカインのシグナル伝達に関わる細胞内分子です。)
大まかな話をすると、第一段階で使う抗リウマチ薬は、細胞の代謝酵素を抑制してみたり、炎症を起こすサイトカインという物質をいろいろな細胞が作ることを抑えてみたり、あるいは細胞同士の働きを阻害させることができます。主に細胞の機能を変えていくことが目的となっていて、ターゲットがタンパク質であることが多いです。

ところがジャック阻害薬は細胞の中にあるシグナル伝達物質という本当に小さな分子がターゲットになっていまして、これをブロックすることで免疫、炎症、関節リウマチ、こういったことに関わる遺伝子に直接働きかけることになって、細胞の中から炎症に関わる遺伝子を抑制して、リウマチの関節炎を抑えていこうという働きがあります。

JAK阻害薬の特徴

非常によく効くこと、その効果が出てくるのも、極めて速いということがあります。
JAK阻害薬は日本で5種類あります。

  • ゼルヤンツ(一般名トファシチニブ)
  • オルミエント(一般名バリシチニブ)
  • スマイラフ(一般名ペフィシチニブ)
  • リンヴォック(一般名ウパダシチニブ)
  • ジセレカ(一般名フィルゴチニブ)

一つ目のJAK阻害薬で寛解となる方は60%~70%程度と思われます。もし寛解に入らなかった場合は、次のJAK阻害薬に切り替えますと、寛解に入る人がいらっしゃいます。
JAK阻害薬は、メトトレキサートという免疫抑制剤とは併用して飲むことができますが、その他の免疫抑制剤と併用することはできません。

また、生物学的製剤と併用することもできないことを覚えておいてください。

つまり、併用してしまうと免疫を抑えすぎてリスクが出てくるというふうに考えてください。さて、JAK阻害薬は生物学的製剤と同じあるいはそれ以上に有効で、副作用は少ないけれども高価で、ほぼ生物学的製剤と同じ値段となります。

副作用について

JAK阻害薬は極めて少なく安全ですが、注意しなければいけないのが、帯状疱疹(ヘルペス)です。その他、肺炎などの感染症は起こしにくく、また肺にそもそも合併症がある、例えば間質性肺炎があっても程度によっては使用することが可能です。

また、肝機能障害や白血球などの減少傾向、コレステロール値の上昇などの副作用もみられることがあります。
JAK阻害薬を使用する際は、腎臓や肝臓の悪い場合や、他の薬剤を併用している場合も注意が必要です。このためきめ細かく血液検査などを行っていく必要があります。
内服を開始した当初は、2週間から4週間に1回は必ず検査をしてください。安定してきてからは、1ヶ月に1回はチェックすることが望ましいと思われます。
癌の治療歴があったり、癌のリスクが高い方の場合は、主治医によくご相談ください。また、妊娠中や妊娠を希望されている場合には服用することはできません。

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