治療のスピードと効果判定
treatmentリウマチ治療のスピードについては、診断がついてから、どれだけ早く治療がスタートするか?というスピードと、始めた リウマチ治療があまり効果がなかった時に次の治療に切り替えていくスピードの二つの意味があります。
もちろん今の治療で寛解になっていれば次のステップに進む必要はありません。
リウマチの治療の目的
関節炎を抑えて、骨が溶けないことで関節が壊れないようにすることです。ですからリウマチの治療は、関節が壊れてしまうスピードより早くなければなりません。リウマチの患者さんの、骨が溶けて、関節が壊れるスピードは最も早い方で数か月から半年の間の極めて早い時期に関節破壊が進みます。ですので、リウマチの治療のスピード感は 1カ月単位で捉えることが良いと思います。
関節リウマチの診断がつきましたら、即座に治療を開始することが望ましいです。遅くても2週間から4週間以内に始めると治療の結果は良いものになります。
始めた治療が有効であるかどうか判定するのは通常は3カ月後に関節炎が良くなる傾向にあるかどうかで考えます。これは患者さんご本人の自覚症状が良くなっているかという点が一番大事で、その他医師の診察結果、さらに検査結果を合わせた活動性の指標が改善しているかも大事です。もし3ヶ月間でリウマチが良くなる傾向になければ次の治療に変更して行きます。また3ヶ月の時にはよくなる傾向があって様子をみたけれども、治療開始してから6ヶ月経って寛解になっていなければこれも治療を変えます。
リウマチの治療

3段階、3フェーズあります。それぞれのステップから次のステップに進むたびに、よく効く治療になりますが、同時に治療費も高くなる傾向があります。
それぞれ次のステップに進むタイミングというのは3〜6か月のスピードで行われることが理想的です。
治療の効果が3ヶ月経っても全く見られない。あるいは、6ヶ月継続して治療してみたけれども、目標とする寛解に至らず、リウマチの関節炎が中等度以上あるような場合、次のステップへと進みます。
第1段階・フェーズ1
抗リウマチ薬という飲み薬の治療となります。この薬の中でも、メトトレキサートという薬が最初に使うお薬です。6カ月後に寛解になる患者さんは第1段階では約30%程度と推定されています。本来残りの70%の患者さんは第2段階フェーズ2に進むのがよいわけです。しかしながら治療薬の生物学的製剤が高いことや肺合併症などの問題で第2段階に勧める患者さんは私たちのクリニックで約40%程度です。
大切なことは治療をなんかしていれば、たとえ寛解になっていなくても関節が壊れていく骨が解けていくスピードは遅くなっています。タイミングを見て後から生物学的製剤を導入することももちろん良いことですし多くの患者さんがそのような対応をされています。スピードばかりにこだわることもないという面があります。
何らかの治療をしているということはとても大事です、第2段階に入れない場合には第1段階での治療の工夫を主治医の先生と一緒にしてください。
第2段階・フェーズ2
フェーズ2、第2段階に進むためには、医療保険が適用となりますけれども、3割負担の方で2万円から3万円毎月かかるようなことになります。
第2段階では、生物学的製剤とjak阻害剤を使うことができますが日本リウマチ学会のガイドラインでは生物学的製剤が優先して使うように推奨されています。
いずれの薬も関節炎を引き起こす炎症の流れを強力に遮断する治療になります。第2段階フェーズ2で主に使われる生物学的製剤は、遺伝子工学で作られたタンパク質の注射薬になります。
第3段階・フェーズ3
これが効かない場合に、第3段階フェーズ3で、JAK阻害剤を使うこととなります。ここまで治療が進んで来るのに最短で9ヶ月から一年というのが患者さんが覚えておくと良いスピード感だと思います。
この期間で私たちのクリニックでは、症状が全くなくなり、元の生活に戻れたという とても良い寛解に、リウマチ患者さんの80%前後はなることができます。
患者さんのリウマチが極めて悪い、早期に関節が壊れてしまうことが予測される場合に限り、最も速いスピード感で強力な治療を例外的に行うこともできます。
第1段階を飛ばして、初めての治療から第2段階フェーズ2に進んで、2種類に限定された生物学的製剤で治療を開始することができます。
いずれにしても、リウマチの治療は、よくならない、症状が残っているのに同じ治療を1年、2年と続けるというのは、ゆっくりすぎます。数ヶ月単位、本当は3ヶ月単位で、現在の治療がリウマチを抑えることに役に立っているかの判断をして、有効性に乏しいと考えられた場合には、変更していくということが基本となります。