合併症の予防と管理
treatmentはじめに

リウマチの方はリウマチの治療をしていても、していなくても合併症や副作用に注意をする必要があります。これはとても大切なことです。
リウマチによる合併症
もともと関節リウマチの患者さんには、以下のような合併症が見られることがあります。
- リウマチ肺:リウマチによる肺合併症(間質性肺炎・細気管支炎など)
- 腎機能障害:リウマチと診断されたときにすでに存在することも多い
- アミロイドーシス:リウマチの炎症が高いまま経過するとアミロイドという物質が体に沈着する
これらはリウマチそのものによって引き起こされる臓器障害や合併症です。これに加えて、免疫力を抑え気味の治療薬による副作用や合併症もあります。
薬剤による副作用
一般的な副作用
薬が合わない場合に現れる症状。
- 吐き気や胃の痛み
- 下痢
- 口内炎
- 脱毛
これらの症状はお薬をやめれば元に戻りますので、主治医に相談して薬の変更をしてください。
臓器への影響
- 呼吸器合併症:痰を伴わない咳が続く、胸が痛い、息苦しいなどが特徴の間質性肺炎
- 肝機能障害
- 腎機能障害
- 貧血
これらを早期発見するためには、きめ細かく採血検査をすることが必要です。
感染症のリスク
免疫力が落ちたことによって感染症にかかりやすくなったり、かかると重症になることがあります。このため以下の対策が重要です。
治療開始前の検査
治療開始前に、あらかじめ体の中に感染源となるウイルスや結核菌などが潜んでいないかを確認することが必要です。時々この過程が抜けていることがありますので、よく注意してください。もしそうした病原体が体の中に潜在していれば、これを治療しながら関節リウマチの治療も行うことが安全です。
ワクチン接種
以下のワクチン接種も大切です。
- 肺炎ワクチン
- コロナワクチン
- インフルエンザワクチン
隠れた疾患の検査
がん検診
単純CTなどを使って、以下の部位に隠れた癌がいないかを確認しておくことも大事です。
- 肺
- 消化器
- 骨盤内(女性であれば、卵巣や子宮)
呼吸器疾患の確認
肺合併症がある方には使ってはいけない薬があります。以下の疾患の有無を確認するため、胸部レントゲンと胸部CTが重要です。
- 慢性気管支炎
- 喘息
- 間質性肺炎
- 肺気腫
副作用・合併症の予防と早期発見
きめ細かな治療をすることで、こうした副作用や合併症を素早く見つけて、大きなトラブルにならないように回避することができます。
定期検査の重要性
- 新しい薬の場合:2週間に一回採血検査をして異常が出ていないことを確認
- 継続中の薬の場合:治療の経過中に肝臓や腎臓に負担がかかることがあるため、定期的に1ヶ月から2ヶ月に一度は採血をして機能をチェック
異常値が出た場合
定期的な血液検査の中で異常値が出たときには、すぐにスクリーニング検査をする必要があります。早く見つければ、治療によって薬をやめるだけで元に戻ることもありますし、治療をすれば大半は元に戻ります。
肺炎の早期発見
通常の内科診察スタイルだと、リウマチの治療中におこる肺炎は医師が診察した時にはすでに進行していて入院して治すことが多いですが、患者さんご本人が以下のサインを見逃さずに早期肺炎を見つければ、ご自宅で薬を飲んで1週間から10日で治ります。
- 咳
- 喉の痛み
- 軽い風邪のような症状
早期肺炎は胸のレントゲンでは見つからないことが多いので、必ず胸部CTをとることが大事です。レントゲンでは見えないような僅かな肺炎を見逃さず診断することができます。
個別対応の重要性
以下のような個人の背景に合わせた治療調整も重要です。
- 年齢による調整:お子さんや高齢者では、同じ薬でも使用量や種類が異なります
- 妊娠・出産を考慮:妊娠を考えている女性には、妊娠に不利益にならない・胎児に悪影響を及ぼさない薬を選ぶ必要があります
こうした個人の背景をよく聞き、整理しておくことも、合併症や副作用を回避するための大切な手段となります。
患者さん自身でできること
- 感染症予防の基本
- 手洗い
- うがい
- マスクの着用
- 変化に敏感になる
- ちょっといつもと違うと感じたら、すぐにかかりつけ医に相談
- 日頃からコミュニケーションの取れる医師を見つけることが大切
- 医師とのコミュニケーションが取りにくい場合は、看護師などのメディカルスタッフに相談