膠原病の治療

treatment

膠原病の治療ってどんな感じ?

免疫というシステムは本来、体に入ってきたバイ菌やウイルスなどの病原体から体を守るためのシステムです。病原体が体に入ってくるとその場所に炎症を起こして体を守る反応を起こします、これが免疫防御システムです。免疫を担当する細胞は主に血液の中にいて、リンパ球や抗原提示細胞、マクロファージなどが代表選手です。

病原体のいる場所に、これらの細胞が集まって炎症を起こすと、熱を持ち、赤く腫れて、痛くなります。全身の反応としてはちょうど風邪をひいた時と同じものです。この免疫反応で病原体が排除されればいつもどおりに戻ります。ところが膠原病では免疫担当細胞などが自分の体を病原体と間違えて認識してしまう免疫異常反応起こしてしまいます。もともと病原体と思い込んでしまっているものは、自分の体ですからいくら炎症を起こして攻撃しても排除しきれないため、もっともっと免疫反応を強めていくスパイラルに入ってしまいます。このようにして免疫反応は偏って高くなっていき、まるでワクチンを打ったかのように自分を攻撃する自己抗体が作られます。この抗体が正常な細胞や組織と結合して炎症を引き起こし、さらに炎症を誘発する作用のある炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-α、IL-17など)が過剰に分泌されます。これにより、炎症のドミノ倒しが起きて炎症が拡大し、自己抗体などのターゲットとなってしまった関節や血管、腎臓などの臓器に損傷を与えます。このようなメカニズムで膠原病が起きてきます。

膠原病の主な原因

免疫システムの異常によって、免疫力:炎症反応が偏って高まり臓器や全身に炎症が持続的に起きてくるものです。
このため偏って高まった免疫力を低下させて正常に近づけるのが治療となります。治療の目的は免疫異常の調整、炎症の抑制、および症状のコントロールです。
各疾患ごとに免疫抑制剤や生物学的製剤で過剰に起きている免疫反応を抑制し、炎症が広がっていくことを抑えます。

免疫抑制剤・免疫調整剤

のみ薬の免疫抑制剤・免疫調整剤メトトレキサート、アザチオプリン、シクロホスファミド、ヒドロキシクロロキン、タクロリムスなどがあります。
注射の生物学的製剤としては抗TNF-α薬(インフリキシマブ、エタネルセプト)抗IL-6受容体抗体(トシリズマブ)抗B細胞モノクローナル抗体(リツキシマブ)、抗B細胞活性化因子モノクローナル抗体(ベリムマブ)抗IL-1阻害薬(アナキンラ)、ヒト抗Ⅰ型インターフェロン1型受容体モノクローナル抗体(アニフロルマブ)などがあります。

治療薬は関節リウマチ・膠原病の疾患別にそれぞれ薬剤が決まっていますし、病気の勢い:活動性によって使い分けたり組み合わせる必要があります。

治療中は免疫力が低下する傾向にありますので、感染症に注意が必要です。手洗いうがいマスクなどコロナ対策で行った日頃の感染防御が大切になります。感染症としては肺炎や尿路感染症が多いので咳・咽頭痛・痰がらみや頻尿・排尿時の痛み・下腹部の違和感などのちょっとした症状があったときに患者さんがそのサインに気がつくことが大事です。おかしいなとちょっとでも思ったらすぐに検査をして治療をすることで重症化を防ぐことができます。

感染症とは別に、使用している薬に特有な副作用もありますので、医師・看護師さん・薬剤師さんによく教えてもらって、ご自分で気が付くことができるサインを見逃さないようにしてください。

医師は副作用に気をつけて1~2か月ごとにこまめに検査をして早期発見に努めます。例えばごく軽度の腎機能の悪化傾向があれば、副作用が疑われる薬をやめるなどの微調整で回復することができます。ところが半年も検査をしないで医師が腎機能障害に気がつかないままに居ると、腎機能は低下するばかりで腎不全となり元に戻らなくなります。
適切な治療と、患者さんの気づき、きめ細かい検査で、関節リウマチでは元の生活に戻る寛解を、膠原病では症状がほぼない状態で進行を抑えることが目的となります。
現在の治療でこの目的は多くの患者さんにとって達成することができます。さらに治療は年単位で進化していますので、今うまくいっていなくても 決して希望を捨てたり、あきらめたりしないでください。前向きに病気に向き合ってどうぞ治療を続けてください。私たちが応援します。

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