全身性エリテマトーデス

rheumatism

SLE(全身性エリテマトーデス)ってなに?

SLEは「膠原病の」一種で、全身の様々な臓器に炎症が起こる病気です。

  • 本来なら自分の身体を守るはずの免疫システムに異常を生じ、誤って自身の身体を攻撃する病気を「膠原病」と総称します。
  • 日本のSLE患者さんは約6-10万人で、その90%が女性です。20-40歳代で発症しやすいですが、最近は高齢の患者さんも増えています。
  • 原因はまだよくわからないことも多いですが、遺伝的要因と、紫外線や性ホルモンなど環境要因の双方が積み重なって発症すると考えられます。

こんな時もしかしたらSLE?

SLEは全身に多様な症状が現れる病気です。症状の組み合わせや現れる時期には大きな個人差があります。

  • 当てはまる症状があれば、専門医の受診が望ましいです。
  • ほとんどの患者さんに全身症状、皮膚・関節症状が見られます。
  • 内臓(特に神経・腎臓)や血管に症状があると、より重症とされ、強い治療が必要となることが一般的です。

SLE患者さんに、日常生活で気を付けていただきたいこと

定期通院を欠かさない

  • SLEの患者さんは多くの場合、「疾患活動性」が高い状態と低い状態を繰り返します。
  • 落ち着いていた症状が再び悪化することを「再燃」といい、再燃を繰り返すことで臓器へのダメージや治療に用いる副腎皮質ステロイドによる合併症などが蓄積されていきます。
  • T2T(Treat-to-Target)ストラテジーとは、明確な治療目標を設定し、それを達成するために治療を適切に調整していく治療戦略です。つまり、定期通院での適切な治療によって再燃を防ぐことで、臓器へのダメージの蓄積を防げる可能性があります。

日差しを避ける

  • 日光(紫外線)はSLE悪化のきっかけとなる可能性があるので、日焼け止めや帽子、長袖の衣服を活用しましょう。

疲労やストレスをためすぎない

  • SLEの全身症状の1つに疲労感があるだけでなく、疲労やストレス自体がSLE悪化のきっかけになることがあります。健康的な生活習慣や休養を心掛けましょう。

体調の変化に注意する

  • 症状の増悪やこれまでにない新しい症状が、SLEの再燃や治療に伴う感染症による可能性があります。早めに主治医に相談しましょう。

検査について

発症時や再燃時は、障害された臓器ごとに必要な検体・画像検査を重点的に行います。疾患活動性が安定したら、定期の血液・尿検査が主になります。

  • 血液検査:血球(白血球・赤血球・血小板の減少がないか)、血清補体価(CH50, C3, C4の低下がないか), 炎症反応(CRP上昇やESR亢進がないか)、ガンマグロブリン、生化学(薬剤の副作用を含めた肝臓や腎臓の障害がないか)、血清自己抗体(抗核抗体・抗dsDNA抗体・抗Sm抗体・抗SS-A抗体・抗SS-B抗体・抗RNP抗体・抗リン脂質抗体など)など
  • 尿検査:尿蛋白・沈査(尿蛋白増多や沈査異常がないか)
  • 胸部レントゲン:心臓の拡大や胸水がないか

その他、症状に応じて、CT, MRI, SPECT, 脳波、エコー、胸水検査、髄液検査、眼底検査、皮膚や腎臓の生検(針を刺して細胞や組織を観察する検査)などを積極的に併用します。
また、副腎皮質ステロイドなどによる治療開始前には、血液検査や画像検査により、感染症や悪性腫瘍がないことを確認する必要があります。

治療について

SLE治療の中心は薬物療法です。障害された臓器や疾患活動性、重症度にあわせて、薬剤とその量を選択します。

副腎皮質ステロイド・炎症を抑える作用があり、SLEの疾患活動性が高い時に治療の中心となる薬です。多くの場合内服投与しますが、障害された臓器の種類や疾患活動性、患者さんの状態次第では一時的に点滴投与することもあります。・一方で長期投与による副作用への懸念などから、最新の欧州リウマチ学会のガイドラインでは少量の使用、可能なら中止が望ましい薬剤とされています。
免疫抑制薬・免疫の異常を抑える薬剤です。・副腎皮質ステロイドの効果が不十分な時に、免疫抑制剤を併用することでステロイドの減量を期待できます。
免疫調整薬・SLEの基本的な治療薬の一つとして用います。皮膚や関節症状、ループス腎炎など様々な病態の患者さんへの効果が期待されます。
生物学的製剤・体内で病気の原因となっている特定のタンパクをターゲットとする薬剤です。・副腎皮質ステロイド、免疫調整薬などで効果不十分な場合や、ステロイド減量目的で併用します。
  • SLEの治療薬により、感染症にかかりやすくなったり重症化しやすくなったりする可能性があります。まずは感染症にかからないよう、手洗い・うがいを心掛けましょう。
  • 特に長期間副腎皮質ステロイドを使用されている患者さんは、骨粗鬆症、糖尿病・高血圧症など生活習慣病のリスクが高くなり、患者さんによっては生活習慣の改善を含めた予防や治療を行う必要があります。
電話予約
LINE予約LINE予約
WEB予約WEB予約