混合性結合組織病(MCTD)

rheumatism

混合性結合組織病ってなに?

混合性結合組織病(Mixed Connective Tissue Disease; MCTD)は全身性エリテマトーデス(Systematic Lupus Erythematosus; SLE)、全身性強皮症(Systemic Sclerosis; SSc)、多発性筋炎/皮膚筋炎の症状が混在し、抗U1-RNP抗体が高力価陽性となる疾患として1972年にSharpらによって提唱されました。日本でも約1万人(令和4年の医療受給者証保持者数)の患者さんがいると推定され、男女比が1:13~16と女性に多い疾患です。30~40歳代で発症することが多いですが、小児から高齢者まで幅広い年代で発症します。

こんな時もしかしたら混合性結合組織病?

MCTDの初発時の症状はレイノー現象、手背から手指の腫脹、関節痛、関節炎などが多いです。

レイノー現象

MCTDのほとんどの患者さんでみられ、初発症状となることも多いです。冷たいお水に触れるなどの寒冷刺激により手指が「白(血管の攣縮)」→「紫(チアノーゼ)」→「赤(血管拡張)」と色調の変化をきたすことが特徴です。数分から数十分の経過で元の色調に戻りますが痛みやしびれを伴うこともあります。レイノー現象は健常な方でも見られることがありますが、数本の指に色調変化が起こる、左右非対称、爪郭毛細血管異常(爪の根もとの血管)が見られる場合には背景に膠原病などの基礎疾患が隠れている二次性レイノー現象の可能性があります。診察時にはレイノー現象がみられないことも多いですので、自宅でレイノー現象が出現した際に写真を撮影し担当の医師に見せて頂くとよいと思います。

手指の腫脹

手背から手指にかけてソーセージ様に指全体が腫れることがあり、持続することが特徴です。

肺動脈性肺高血圧症

MCTDの10%程度に合併し生命に影響を及ぼす重篤な合併症です。早期発見、早期治療がとても重要ですので定期的に経胸壁心臓エコー検査を行います。

SLE様症状

多関節炎(約80%)、リンパ節腫脹、顔面紅斑、心膜炎/胸膜炎、白血球減少、血小板減少など

SSc様症状

手指に限局した皮膚硬化、間質性肺炎、食道機能低下、逆流性食道炎など

多発性筋炎/皮膚筋炎症状

近位筋優位の筋力低下、筋原性酵素の上昇などその他にはMCTDに特徴的な症状として無菌性髄膜炎、三叉神経障害などがしられています。

検査について

抗U1-RNP抗体はMCTDの診断に必須の検査になります。他には臓器障害の程度をみるために一般的な血液検査、尿検査、胸部X線・CT検査、呼吸機能検査などを行います。また抗U1-RNP抗体陽性は肺高血圧症のリスク因子でありMCTDの患者さんでは無症状でも経胸壁心エコー検査にてスクリーニング検査を行う必要があります。

治療について

MCTDの治療はどの疾患(SLE、SSc、多発性筋炎/皮膚筋炎)のどの臓器病変かによって分けて考えることが必要です。臓器障害の程度によりグルココルチコイドや免疫抑制療法が必要になります。レイノー現象に対しては保温がとても大切です。手足だけでなく身体全体を温めてください。症状が強い場合には血管拡張薬を使用することもあります。喫煙は血管を収縮して症状を悪化させますので必ず禁煙してください。

※参考資料
難病情報センター(https://www.nanbyou.or.jp/entry/105)
UpToDate®
*Cleve Clin J Med. 2017 Oct:84(10):797-804

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