小児リウマチ膠原病外来
medical小児リウマチ・膠原病外来について

小児リウマチや膠原病では、お子さんの熱がなかなか下がらず長期間持続したり、周期的に発熱を繰り返すことがあります。
他にも、関節の腫れや痛みが続いたり、腰痛やかかとの痛みが続くこともあります。
また、日光にさらされた部分の皮膚にかゆみを伴う発疹や発赤、炎症が生じるほか、ひどいしもやけなどの症状が現れることもあります。
このような症状がみられる場合やご心配なことがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
小児リウマチとは?
リウマチは、高齢の方が罹患するイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。
小児リウマチは、子どもや若者に起こる関節の炎症性の病気です。
関節が炎症を起こして、腫れたり、痛くなったりします。
具体的な原因はまだ明らかではないですが、遺伝的な要素も関与している可能性があります。
小児リウマチは長期的な治療が大切です。
若年性特発性関節炎(JIA)
16歳未満(=若年性)の小児に発症する原因不明(=特発性)の6週間以上持続する慢性の関節炎の総称です。
日本ではお子さん1万人あたり1人にみられ、成人になっても通院・治療が必要な方を合わせると約8千人の患者さんがいらっしゃいます。
若年性突発性関節炎(JIA)の7つの型
JIAは図のように7つの型に分類されます。わが国では全身型がもっとも多く、JIA全体の約30~40%を占めます。
次に少関節炎が約20~30%、リウマトイド因子陰性多関節炎が約15~20%、リウマトイド因子陽性多関節炎が約10~15%、乾癬性関節炎は非常に稀で、付着部炎関連関節炎は1~7%を占めています。

若年性突発性関節炎(JIA)の男女差
全身型
幼児に多く、性差はありません。少関節炎も幼児に多く、男児より女児の方が多く発症します。
リウマトイド因子陰性多関節炎
どの年齢でもみられますが、2歳ごろと7歳ごろに2つのピークがあり、女児の方が多く発症します。 リウマトイド因子陽性多関節炎は学童期に多くみられ、女子の方が多く発症します。
付着部炎関連関節炎
学童期に多くみられ、男子の方が多く発症します。
若年性突発性関節炎(JIA)の症状
全身型
関節の痛みと腫れのほか、長く続く発熱がみられます。
発熱は40℃を超えるような高熱が突然出現しますが、短時間で自然に下がり1日中続くわけではありません。
このような発熱は2週間以上続きますが、熱のないときは比較的元気です。また、多くの患者さんで発熱時にサーモンピンク疹と呼ばれる発疹がでます。
発疹は通常かゆみはなく短時間で消失します。そのほか、全身のリンパ節の腫れ、肝臓や脾臓の腫れ、漿膜炎(胸膜炎、腹膜炎)による腹痛や胸痛がみられることがあります。
関節型
指の小さな関節から膝・手首・肩などの大きな関節まで、様々な関節に炎症が起こります。
関節の痛みは朝に強く、関節リウマチと同じようにこわばりを伴います。
痛みを訴えることができない小さなお子さんでは、朝機嫌が悪い、触られるのを嫌がるなどの症状がみられます。
若年性突発性関節炎(JIA)の診断
他の関節炎の原因が否定された場合にJIAと診断されます。
まずは問診と診察で、関節炎があるかどうかを確かめます。
血液検査では、炎症の反応(血球数やCRP値、赤沈値)、リウマチ因子や抗CCP抗体、抗核抗体などを調べます。
さらにレントゲン撮影や関節エコ―、MRI検査などで、関節炎の有無や重症度を調べます。
若年性突発性関節炎(JIA)の治療
全身型でも関節型でも、関節の痛みや腫れに対してはイブプロフェンやナイキサンなどの非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)を使用します。
全身型
ステロイドを用いて治療します。病気の最初の勢いの強い時期には、大量のステロイドを使ってなるべく早く炎症を抑えます。炎症がおさまった後は、再燃に注意しながらステロイドの投与量を減らしていきます。
多くの場合ステロイドは中止することができます。ステロイドだけでは炎症が抑えきれない場合や、ステロイドの投与量を減らすと再燃してしまうような場合には、ステロイドの副作用の出現を抑えるため、トシリズマブ(抗IL-6受容体抗体製剤)やカナキヌマブ(抗IL-1抗体製剤)という生物学的製剤で治療します。
関節型
メトトレキサート(MTX)を用いて治療します。
MTXだけでは関節炎が治らない場合や、重症で関節が破壊されてしまう可能性が高い場合、嘔気などの副作用でMTXの内服ができない場合などでは、エタネルセプトやアダリムマブ(TNF阻害薬)、トシリズマブ、アバタセプト(T細胞選択的共刺激調節剤)などの生物学的製剤で治療します。
若年性突発性関節炎(JIA)の注意すべき合併症
全身型
全身型では病気の勢いが非常に強い場合、マクロファージ活性化症候群(MAS)と呼ばれる命にかかわる重篤な合併症を発症する可能性があります。
MASはリンパ球やマクロファージなどの免疫細胞が異常に活性化した結果、様々な炎症性サイトカインが過剰に産生され、発熱のほか、血球の減少(特に血小板減少)、肝臓の異常、凝固の異常などがみられ、適切に治療されないと急速に進行・悪化して多臓器不全に至ることもあります。
関節型
約10%の患者さんにぶどう膜炎という眼の合併症がみられます。進行すると失明することもあるため、定期的な眼科検診が重要です。
抗核抗体が陽性(160倍以上)、少関節炎、幼児期発症の患者さんでは特に注意が必要です。