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関節リウマチ治療薬「アクテムラ」が新型コロナウイルス肺炎治療の希望に

驚きの治療成功例

新型コロナウイルス肺炎で重症化した17名と生命の危険に晒された重篤な4名、計21名に対して関節リウマチの治療薬である「アクテムラ」を投与したところ、全員が無事に回復し退院したという驚くべき報告がありました。

これは関節リウマチの患者さんにとって、安心できる奇跡のようなニュースではないでしょうか。

なぜリウマチ薬が効くのか?

新型コロナウイルス肺炎の重症化は、単にウイルスが肺に広がるだけではありません。実は、ウイルスを排除しようとする私たちの免疫システムが過剰に反応し、「サイトカインストーム」と呼ばれる現象を引き起こすことで、ウイルスのいない正常な肺組織までもが攻撃され、あっという間に肺全体が破壊されてしまうのです。この現象はB型肝炎の劇症化(劇症肝炎)でも見られます。

IL-6と呼ばれる炎症性サイトカインは、このサイトカインストームを引き起こす重要な因子の一つとされています。アクテムラはこのIL-6の働きを抑制する薬であり、過剰な免疫反応を抑えることで、重症化した肺炎に対して治療効果を発揮すると考えられています。

意外な治療法の可能性

免疫力を強力に抑える生物学的製剤が、新型コロナウイルス対策に役立つというのは一見矛盾しているように思えますが、これが実際に効果を示しているのです。現在、関節リウマチの治療薬として使われている生物学的製剤の一種が、コロナウイルスによる肺炎の重症化を防ぐ治療薬として試験的に使用されています。

もちろん、特効薬やワクチンの開発も急ピッチで進められており、一日も早い実用化が期待されています。

関節リウマチ患者さんへの注意点

ここで重要なのは、アクテムラを使用していれば新型コロナウイルスに感染しなくなるわけではないということです。新型コロナウイルスへの感染リスクは、関節リウマチの患者さんもそれ以外の方も同じです。

ウイルスが目や鼻、口から侵入することで感染が成立します。むしろ自宅で過ごす時間が長い関節リウマチの患者さんの方が、ウイルスに接触する機会は少ないかもしれません。また、免疫抑制剤や生物学的製剤、その他の抗リウマチ薬を使用している患者さんでも、実際に感染し発症する割合は健康な方と比べて同じだという報告があります。

最後に

引き続き、手洗い・うがい・顔洗いなどの基本的な感染予防対策を徹底しましょう。新しい治療法の可能性が広がる一方で、感染予防の基本を忘れないことが大切です。

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