関節リウマチの「寛解」とは?
treatment「寛解」という言葉は、治療によって「病気が良くなった」「もう大丈夫」と感じられる、とても良い状態を表す医学用語です。
自然に良くなった場合は「自然寛解」
治療をせずに病気が自然に良くなった場合は「自然寛解」と呼ばれます。
「寛解」と判断する基準
「寛解」とは、患者さんの実感だけではなく、医師が客観的に評価できるように数値化された基準も用います。例えば、以下のような項目を基に判断します。
- 痛みを感じる関節の数
- 腫れている関節の数
- 血液検査の結果(炎症の指標など)
- 患者さんの自己評価(痛みや調子の具合)
- 医師の総合評価
これらを数値化し、基準以下であれば「寛解」とされます。また、数値が低いほど良い状態を意味します。
寛解の種類と当院の目標
関節リウマチの寛解にはいくつかの定義がありますが、当院では以下のような「理想的な寛解」を目標としています。
- 痛みのある関節が一つもない
- 全身の調子が良い
- 医師が診察しても腫れた関節がない
- 血液検査で炎症が認められない(CRPやMMP-3などが正常値)
- 関節エコーで炎症の兆候がない
この理想的な状態を、当院では「68関節すべて」を評価することで確認しています。
寛解の種類
寛解には主に以下の種類があります。
- Boolean寛解(ブーリアン寛解)
痛みや腫れた関節数、炎症の指標など、複数の条件を全て満たした場合に達成される寛解です。
- DAS28(28関節を対象にした評価)
CRP(炎症マーカー)やESR(赤血球沈降速度)などを含む計算式で評価します。
- SDAI・CDAI
患者さんや医師の評価を加味し、簡単に疾患活動性を数値化する方法です。
「寛解」と「疾患活動性指標」
「寛解」は治療のゴールですが、その途中経過を評価するための指標として「疾患活動性指標」が使われます。これは、リウマチの勢いがどのくらいかを数値で表したもので、以下のように分類されます。
- 高活動性(悪い状態)
- 中活動性
- 低活動性
- 寛解(良い状態)
寛解の3つの視点
- 臨床的寛解
症状が改善し、活動性指標で良い状態と評価される。
- 機能的寛解
日常生活や社会生活が問題なく送れる状態。
- 構造的寛解
X線やMRIで関節破壊の進行が止まっている状態。これら3つを同時に達成することが治療の最終目標です。
あずまリウマチ・内科クリニックの寛解
当院では、理想的でありながら現実的な「寛解」を目指しており、約70%の患者さんがこの状態を達成しています。
寛解の種類(計算)について
寛解には、大きく2つのタイプがあります。
- 寛解か寛解でないかを単純に判断する基準値によるもの
- 関節炎の数、炎症反応の数値、患者さんや医師の評価などを組み合わせて計算するもの
これらは、使用する基準(物差し)の違いによりいくつかの種類に分かれます。
患者さんにとって良い状態(医師にとっては達成が難しい状態)の順に並べると、以下の通りです。
あずまクリニック寛解 > ブーリアン寛解 > SDAI > CDAI > DAS28-CRP ≒ DAS28-ESR ≒ RAPID3
疾患活動性指標について
疾患活動性指標は、関節リウマチ(RA)の活動性を数値化し、誰でも一目で病気の勢いや状態がわかるようにする評価方法です。
代表的な指標として以下のものがあります。
主な疾患活動性指標
- SDAI(Simplified Disease Activity Index)
痛みのある関節数、腫れている関節数、患者や医師の評価、CRP値を組み合わせた総合的な指標。
- CDAI(Clinical Disease Activity Index)
SDAIからCRP値を除いたシンプルな指標。血液検査が不要で簡便です。
- DAS28-CRP / DAS28-ESR
28関節を対象に、CRPやESR(赤血球沈降速度)を加味して計算されるスコア。
- RAPID3
問診票のみで計算可能な指標。関節数や血液検査結果は不要で、簡単に活動性を評価できます。
数値の意味
- 高い数値:病気の活動性が高い(悪い状態)
- 低い数値:活動性が低い(良い状態)
- 寛解:最も良い状態
活動性の分類
疾患活動性指標では、数値に基づいて以下のように分類されます。
- 高活動性
- 中活動性
- 低活動性
- 寛解
関節リウマチ(RA)の活動性評価に用いられる各指標(SDAI、CDAI、DAS28-CRP、DAS28-ESR、ACR20)の定義と計算式についてはこちら
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