診療方針

ベーチェット病とは

2024年02月24日

①ベーチェット病とは

ベーチェット病とは、全身性に多彩な症状を起こす炎症性疾患です。

口腔粘膜のアフタ性潰瘍、皮膚症状、眼のぶどう膜炎、外陰部潰瘍を主症状とし、急性炎症性発作を繰り返すことを特徴とします。病気になりやすい遺伝素因を持ち(素因を持つとかならず病気になる「遺伝病」ではありません)、かつ環境因子(ウイルス・細菌などの微生物、食事・喫煙などの影響)が加わることで、病気を発症するのではないかと考えられています。

②【症状】

症状:以下の4つの症状が特徴的といわれます。

  1. 口内炎:「再発する」「痛い」のが特徴的。
  2. 皮膚症状:手足に赤くて痛い発疹(結節性紅斑様皮疹)や、にきびのような発疹(毛嚢炎様皮疹)など。
  3. 陰部潰瘍:陰部に痛い潰瘍(傷が深くえぐれたようになった状態)
  4. 眼症状:おもに眼のぶどう膜という部分に炎症が起こり、「眼の充血」「眼の痛み」「見えにくさ」「眩しさを強く感じる」といった症状が出ます。

4つすべての症状が出る人もいれば(完全型)、一部しか出ない人もいます(不全型)。これらに加えて

  1. 関節(関節の痛み・腫れ)
  2. 精巣(「精巣上体炎」による睾丸の痛み・腫れ)
  3. 消化管(腹痛、下痢・血便など)
  4. 血管(動脈瘤:首や腕の血管に「コブ」ができる、静脈血栓症:「足が腫れて痛い」肺血栓塞栓症:「息苦しい」「胸が痛い」など)
  5. 神経(頭痛、手足の麻痺や感覚異常など)に症状が出てくる人もいます。

消化管・血管・神経病変を持つ人は「特殊型」と本邦ではいわれます。

③【治療】

第一選択薬はコルヒチンです。

病変部位・重症度に応じて、必要があればステロイドを含む免疫抑制薬を使用します。

眼・腸管・血管・神経に症状が出た人には、より強力な治療として生物学的製剤(TNFα阻害薬:インフリキシマブ・アダリムマブ)を使用することもあります。

④【生活上の注意点】

口腔内細菌がベーチェット病に関連するとの報告もあり、毎日の歯磨きと定期的な歯科検診をおすすめします。

またタバコもベーチェット病の発症・増悪と関係する(とくに神経病変で)という報告もあり、禁煙もおすすめします。

(必要があれば保険診療での禁煙外来受診を主治医と相談ください)